前回の投稿からあっという間に1シーズンが過ぎ去り、食欲の秋はおろか2024年
もあと2週間を切ってしまいました。。
気を取り直して今回は、前回のつづき『衝撃の出会いを果たした矢部慎太郎さん
の美しいコレクション「白漆」について・・・!』をおはなししたいと思います。

遡ること2022年の秋、六本木ミッドタウンでなにかの用事を済ませた帰りのこと。
ISETAN SALON 2Fの美しいファッションを眺め、新素材研究所さんの溜息の出る
ようなタイムレスな内装仕上げを愛でながら内階段で1Fへと降り、シーズン毎に
開催されるPOP-UPを楽しみにそれらを経由して店をあとにする。これが昔からの
密かなルーティンで、この日も例に漏れずそれを決行したのでした。
忘れもしない人との出会い。階段を降りて1Fへと降りるさなか下から聞こえてくる
圧倒的な声量と感じたことのない存在感。(まだ見えていないのにもかかわらず)
キングダムの信の言葉を借りていうならば「よくわかんねぇけどコイツ、つえぇぞ」
な感覚になった私が思わず投げた視線の先には「...IKKOさん...?」
ではないー。どなたかは存じ上げなかったものの圧倒的パワーを携えてキリリと結わ
れた和髪とビシっと着こなされている和服。


どうやらお客さまと談笑を楽しまれている今回のPOP-UPの主催者のご様子ー。
さらにフロア全体を俯瞰するとそこには、それはもう渋くて美しい器が整然と並べら
れていました。

1Fへ着いてひとつひとつ眺めて回っていると、中でもひときわ目を惹いた器に足が止
まり、それが今回おはなしする「白漆」の器でした。

突如「いいでしょ〜これ♪」(音符は私の個人的な印象です)と声をかけられ振り返る
と、先ほど談笑されていたその圧倒的存在のご本人が声をかけて下さいました。

私が低身長であることに加えのその方との身長差で振り向きざまから目が合うまで少し
時間がかかった気がしなくはないですが、とにかく頭の先から爪の先まで和装でビシバ
シ決めていらっしゃるその方のお名前は矢部慎太郎さん。
慎太郎さんのプロフィールより抜粋させて頂くと...『北海道愛別町出身。銀座『サロン・ド 慎太郎』グループオーナー。京都のホテルでサービス を学び、京都祇園で夜の世界へのデビュー。2001 年に大阪・北新地で『サロン・ド 慎太郎』 をオープンし、2004 年に銀座並木通り 8 丁目に移転。その後、サロンの 2 号店『ぎんざ 紫』、 京風おでんとうどんの店『ぎんざ 魁』、そば割烹『粋人館』(北海道)、神楽坂『ギャラリー &カフェ 帝』(神楽坂)、日本料理&お茶屋 Bar『かなざわ 紋』(金沢)を展開し、2018 年、 京都に会席料理&お茶屋 Bar『讃』をオープン。店舗の経営、おもてなしはもちろん、美の 空間プロデューサーとして、さまざまな飲食店の器や内装のアドバイザーとしても活動中。 また、2019 年に『慎太郎ママの「毎日の幸せ探し」』(講談社)を上梓。現在は、講演も行う。 故・金子國義氏より “美” を学び、日本の美しいものを伝えていくことに人生を捧げる』

華々しい経歴にくわえ「右都和UTSUWA(慎太郎ごのみの器と絵画)」のサイト運営で
作家さんとのコラボやご自身のオリジナルラインをもって販売されるなど、その活動の
幅広さは枚挙にいとまがありません。

慎太郎さんのインスタグラム→instagram.com/ginza.shintaro/
慎太郎さんのおはなしを聞くと、江戸中期の古伊万里、白磁蓋付飯碗の骨董の写しを、
磁器だけでなく木でもつくってみられたそう。石川県内の3大漆器のひとつ「山中塗
り」の白漆だそうです。
なんと独創的なカバーリング!このキリッとした佇まいかつ手にすると軽やかで光が
透けて見えるほど薄く可憐な造形美にすっかり魅せられてしまいました。木目(これ
もarperの椅子の回でおはなしした「メハジキ仕上げ」に近いイメージ)に入る白漆の
溜まりがさらに繊細な印象を醸し出しています。

その後も順に他の器へとご案内頂き、気づけば「慎太郎ノ器物語」の世界へ誘われて
おりました・・・

そしてふと壁に目をやるとマンガ「東京タラレバ娘」の作家、東村あきこさんの画風
で描かれた慎太郎さんが飾られていらっしゃる。驚くことに東村さんの新作マンガ「
銀太郎さん、お頼み申す」で慎太郎さんご本人をモチーフに連載がスタートするとの
こと・・・!
慎太郎さんの紡ぐ言葉やストーリー、その存在感に終始感動・圧倒され(そもそも自分がモチーフの漫画ってどんな感覚なのでしょう。。)なにかの講演会に行った気になって大満足してしまいその日は購入に至らなかったものの、脳裏にこびりついたあの茶碗の残像が日が経つごとに増してしまい、結局POP-UP最終日いろいろな予定を繰り合わせて滑り込み、4つ我が家に迎え入れたのでした。
Back to Top