では実際の使い勝手はー。
不朽の名作とあれど、長時間の着座や低身長の人には向かないかも・・?というのも、デンマーク人と日本人の平均身長差は男女別に見ても10cm以上なので、座面も背板も日本製と比較すると高く、そもそも設計スケールが違うということを改めて気付かされます。ちなみに前回紹介したSAYAの製造元イタリアは、日本との平均身長差5〜6cmでイタリアがやや高い。ファッションでも家具でも車でも、昔から身につけるもの触れるもので心地良いと思えるものはいつもイタリア製が多かったのは、この人間工学的な理由に起因しているかも、そんなふうに思えます。
(オランダに住んでいたときはドアノブ、便器、シャワーヘッド、、なんでもかんでも高かったのを思い出しますが、その一方で今は食文化が変わり、日本でも背の高いスレンダーな方がたくさんいらっしゃいますよね。羨ましい!)
デザイン製の高さ故つい手を出しがちな名作でも、実際に使ってみないとわからないことがたくさんあります。そのためにショールームがある!といえばそうですが、私は「試す」と「使う」で得られる情報量は大きく違うと思っています。心身共リラックスする我が家でのディナータイムか、少し緊張感のあるカジュアルなオフィスか、はたまたデンタルクリニックの待合室か・・どういうシチュエーションで、どういう方が、どんな身体の状況で使うのか、そういうことを丸ごとご提案する空間設計を仕事にするからには、なるべく実体験に基づく提案がしたい(もちろん実体験に個人差もありますが)。
そういう想いを胸に、事務所を構えるときにはデザインは統一せず実験的に椅子のバリエーションを増やし試していこう決めていました。